【相談】絶対に無視しないで!複合サービス会員費請求の督促
【事例】
突然、簡易裁判所から「支払督促」の書類が特別送達で届いた。20年ほど前、20歳になったばかりの頃に、電話で女性に呼び出され、資格が取れるなどの学習教材のDVDを購入すると、ホテルやレジャー施設が安く利用できる「複合サービス会員」になれると勧められ契約をした。いつまで会費を支払っていたのかなど全く記憶になく、DVD購入のために借りたローンの支払いが5年ほどで終わったことや、会員向けに毎月届いていた冊子やハガキが届かなくなったこともあって退会になったと思っていた。契約当時は実家に住んでいたが、その後2、3度引越しをした。引越し先にも何度か手紙が届いていたような気がするが、関係ないと思い、手紙はすべて読まずに破棄していた。
今回、簡易裁判所から届いた「支払督促」は、直近2年間の会費の未納分75,600円を支払えという内容になっている。20年も前のことなので、契約書も残っておらず、正式に退会手続きをしたかも覚えていない。この支払督促についてどのように対応したらいいか。
( 契約当事者:40代 男性 )
<センターの対応>
消費生活センターから業者に連絡をし、毎月届いていた冊子やハガキが届いておらず、既に退会手続きを取っている可能性があるため、調べた上で支払督促を取り下げてもらうようお願いしたところ、「裁判所での手続きに入った案件については、対応できない。異議申立書に記載し、裁判所に提出してもらえれば、内容を確認してこちらで検討する。」という回答でした。異議申立書は2週間以内に提出する必要があるため、早めに弁護士会に連絡し、弁護士に異議申立書の内容と今後の対応について相談するよう助言しました。
<アドバイス>
20年~30年ほど前に勧誘された「デート商法」や「アポイントメントセールス」などの悪質商法による深刻な二次被害ともいえる相談が寄せられています。
過去の「デート商法」や「アポイントメントセールス」の手口では、成人になったばかりの若者を電話で呼び出し、資格取得のための学習教材のDVDなどを契約すれば、特典として海外旅行に安く行けるとかホテルやレジャー施設を安く利用できる「複合サービス会員」になれるなどと長時間に渡って勧誘し、契約させて毎月の会費を請求します。
始めは、銀行口座から会費が引き落とされても、その後、就職や転居、結婚等の様々な理由で口座引き落としができない等の会費未払いの状態に陥る場合があります。本人は契約した意識が薄いため、会員契約のことはすっかり忘れてしまうことが多い一方、正式に退会手続きを取らない限り、会費の支払い義務は負ったままになります。
会費が未払いになると、会費の督促の手紙が届き、内容も段階的に強く督促する文面に、また郵送方法も普通郵便から特別送達などに進んでいきます。
普通郵便での督促の段階までは、消費生活センターに相談をすると、消費生活センターがあっせんし、退会手続きにつなげることができます。しかし、放置を続け、裁判所から「支払督促」が届く段階に至ると、消費生活センターでのあっせんにより会費を払わずに解決することが難しくなる恐れがあります。
これまで県内では、裁判所からの「支払督促」の特別送達にまで至った事例はありませんでしたが、今年になって裁判所からの「支払督促」に至った事例が複数発生しています。こういった手口は、架空請求との見分けがつきにくい点に対応の難しさがあります。このような請求があった場合に、身に覚えがないとか、どうせ脅しだと高をくくって無視していると痛手を負うことになりかねません。絶対に放置せず、お早めに消費者ホットライン☎188(いやや)に相談をお願いします。
【相談】暗号資産への投資を持ちかけるマルチ商法にご注意ください!
【事例】
2週間ほど前、知人の紹介で暗号資産の投資システムを勧められ、友人と一緒にオンラインセミナーを受講した。A投資会社から、「アプリのシステムを使えばお金が儲かる。このシステムを誰かに紹介することにより自分にお金が入ってくる。今から始めないと後悔することになる。」などと言われ、実際に投資をしているという人の体験談を聞いた。システムは14万円コースと21万円コースの2つがあるというので、14万円のコースを選んで投資会社に14万円を振り込んだ。それとは別に、暗号資産に投資するために100万円を振り込んだ。契約書や概要書面はメッセージアプリで受け取った記憶はあるが、詳しい契約内容はわからず、投資会社の住所や電話番号は不明。連絡手段はメッセージアプリだけである。何となく怪しいのではないかと感じているので、クーリング・オフをしたい。どのように通知すればいいか教えて欲しい。
(20代 女性 給与生活者 )
<センターの対応>
暗号資産を購入する人を紹介させる販売形態は、マルチ商法(連鎖販売取引)に該当し、特定商取引法において様々な規制が設けられています。マルチ商法では、「契約書」やビジネスの内容や仕組みの詳細が書かれた「概要書面」を交付することが義務付けられています。一般的にクーリング・オフ期間は8日間であることが多いですが、被害に気付くことが遅れがちな連鎖販売取引においては、クーリング・オフについて書かれた書面を交付された日、もしくは商品を受け取った日のいずれか遅い日から20日間がクーリング・オフ期間となります。
消費生活センターでA投資会社のホームページを探してみましたが、見つかりませんでした。また、金融庁にA投資会社が暗号資産交換所としての登録があるか問合せてみると、登録がないことがわかりました。
クーリング・オフのハガキを送るにも住所が不明であるため、取り急ぎメッセージアプリでクーリング・オフすることを通知してもらいました。
後日、相談者から連絡があり、A投資会社から、クーリング・オフを受け付けること、支払い済みの14万円と100万円は、別の暗号資産に交換したうえで相談者の口座に返金するという内容のメッセージが届いたという報告がありました。
<アドバイス>
県内でも、暗号資産への投資を持ちかけるマルチ商法に関する相談が寄せられています。
暗号資産は、日本円やドルなどのように、国がその価値を保証している「法定通貨」ではなく、インターネット上でやり取りされる「電子データ」です。
暗号資産は価格が変動することがあり、価格が上がる可能性もある反面、急落して大きく損をするリスクもあります。リスクの説明が全くなく、誰でも利益を得られるような説明を信じないようにしましょう。
また、暗号資産と法定通貨の交換や暗号資産同士の交換を行う暗号資産交換業を行うには、金融庁・財務局への登録が義務付けられていますので、もし暗号資産への投資を勧められた場合、暗号資産交換業の登録の有無を必ず確認してください。登録のない業者とは絶対に取引してはいけません。
他県では、無登録で暗号資産への投資を勧めていた業者が逮捕された事例もあります。
また、海外の投資会社の事例も寄せられており、その場合、日本国内に拠点がなく、連絡先が不明であれば、消費生活センターで取り扱いも難しく、金融庁の相談窓口(金融サービス利用者相談室)を紹介することになります。
複数の友人をこの投資ビジネスに誘った結果、その友人たちも被害を受けたという事例もあり、勧誘することにより、被害者が加害者になるのもマルチ商法の怖いところです。
令和4年4月1日から成年年齢が18歳に引き下げられることで、社会経験の乏しい若者がマルチ商法のターゲットにされることが懸念されます。SNSで知り合った人、学校の先輩等々が「いい話がある。」と持ちかけてきたら、まずは疑ってみることです。
少しでもおかしいなと感じたら、お金を払う前に消費者ホットライン188に相談してください。
詳しくはこちらのホームページもご覧ください。
■金融庁ホームページ
金融サービス利用者相談室 皆様の「声」をお寄せください!:金融庁 (fsa.go.jp)
■国民生活センターホームページ
【若者向け注意喚起シリーズ<No.2>】情報商材や暗号資産(仮想通貨)のトラブル-「もうかる」はずが、残ったのは借金…-(発表情報)_国民生活センター (kokusen.go.jp)
友だちから誘われても断れますか?若者に広がる「モノなしマルチ商法」に注意! (kokusen.go.jp)
【相談】「保険が使える」にご用心!
【事例】
高齢の母宅に、知人が見知らぬ業者を連れてやって来た。その業者は火災保険を使って雨どいの修理をしないかと持ちかけてきた。自然災害で壊れたことにして保険会社に請求すれば保険金がもらえると言う。知人の勧めでもあるし悪い話ではないと思い、保険金の請求手続きをサポートするという契約をすることにした。その業者が見積もった修理費用は約220万円となっている。契約書面を見ると、その業者への報酬として保険金額の40%を支払うことになっているが、母はそのような説明は受けていない。さらに、保険金の請求手続きのために、契約者自ら電話をしてこの通り伝えるようにとシナリオのような紙を渡されていた。母は、それに従って保険会社に電話をしたが、保険会社が不審に思ったようで、後日訪問し詐欺の可能性があるので警察に連絡するよう助言された。警察に連絡したところ、クーリング・オフについて説明を受け、詳しくは消費生活センターに相談するよう案内された。クーリング・オフについて教えて欲しい。
( 契約当事者:70代 女性 )
<センターの対応>
消費生活センターに相談があったのは、契約書を渡された日から9日目で、クーリング・オフ期間を過ぎていました。とはいえ、そもそも違法性が疑われる契約だったことから、相談者了承のもと、消費生活センターから業者に電話をし、クーリング・オフする旨を伝えたところ、センターからの電話でクーリング・オフに応じることになりました。
<アドバイス>
火災保険を使って住宅の痛んだ部分の修理を持ちかける保険申請代行に関する相談が増加しています。この手口については、かねてより損害保険協会や損害保険各社が注意・喚起をしており、昨年度までに県内での相談はありませんでした。ところが、令和3年4月以降県内でも相談が寄せられるようになりました。
保険金の請求を代行するとうたったインターネットの広告を見て、自ら申込みをする事例のほか、知人の紹介という事例も見受けられます。
火災保険は、突発的で予知されない出来事による損害のみが保険金支払いの対象となり、経年劣化による損害は支払いの対象外です。本当は経年劣化による損害であるにも関わらず自然災害による損害だと嘘の理由で保険金を請求すると「詐欺」に該当する可能性があります。また、保険金は保険会社や保険代理店を通して請求すればお金はかかりませんので、高い手数料を支払ってまで業者に依頼する必要はありません。
申込み後に不安を覚えて解約を申し出たところ、保険金額の40%の違約金を請求されたという事例もあります。
少しでも怪しいな、困ったなと思ったら、消費者ホットライン☎188に相談してください。
【相談】羽毛布団のリフォーム業者にご注意ください!
【事例】
福祉関係の事業所の者であるが、担当している一人暮らしの高齢者女性宅を訪問したところ、2人の男性が家の中にいた。高齢者の了解を得て男性らから話を聞くと、男性は布団のリフォーム業者で、羽毛布団のリフォームを19,800円で引き受けており、怪しい者ではないと言う。まだ契約前で、女性はリフォームを依頼するつもりはないということなので、男性らには帰ってもらった。
男性らが帰った後で、改めて女性に事情を聞くと、自宅の庭にいたところ、2人の男性が訪問し、「以前に布団を購入してもらった際の販売業者が倒産し、当社が布団のフォローを引継ぎましたので、布団を見せてください。」と言われた。「要らない。」とはっきり断ったが、男性らは家の中に強引に上がり込んだ。そこへ、偶然当方が来訪したということだった。男性からもらったのは、個人名は同じであるが、会社名が異なる2枚の名刺だった。2つの会社の関係性は不明である。信用できる業者なのだろうか。
( 契約当事者:80代 女性 )
<センターの対応>
業者の信用性について、消費生活センターから伝えることはできませんが、悪質な布団のリフォーム業者の手口について情報提供しました。布団を見せて欲しいと言われて布団を見せると、「布団にダニがいて、もう使い物にならない。」などと言って、強引にリフォームを勧め、契約書に捺印するまで居座るなどの悪質な事例があるため、引き続き注意深く一人暮らしの高齢者の見守りをするようお願いしました。
<アドバイス>
新型コロナウイルスの感染拡大のため、各地で緊急事態宣言が発出されたことを受け、県境を越えた移動を自粛したのか、訪問販売に関する相談は、10年前の約半数まで減少しました。しかしながらこの秋口から、悪質な羽毛布団のリフォーム業者に関する相談が寄せられ始めました。
高齢者の一人暮らしだと知ると、「要らない。」とはっきり断っているのに、勝手に家に上がり込んだり、玄関チャイムを数十回も鳴らし続けて玄関扉を開けさせようとします。高齢者自ら、認知症の疑いがあることを告げても「大丈夫。おかしいところはない。」と契約を推し進め、契約書に捺印をするまで帰らず居座ります。若い男性2人の強引さになすすべもない高齢者は、業者のいいなりになる他ありません。契約するつもりがなく、帰って欲しいと言っても居座るような場合は、ためらわずに110番に助けを求めましょう。
訪問販売でした契約は、クーリング・オフができます。高齢者の中には、クーリング・オフをすると仕返しがあるのではないかという恐怖心から誰にも相談できずにいる場合もあります。高齢者の周辺の方は、高齢者にいつもと違う様子がないか観察するなど日頃からの見守りをお願いします。
少しでも怪しいな、困ったなと思ったら、消費者ホットライン☎188に相談してください。
「保険が使える」にご用心!(一般社団法人日本損害保険協会チラシ)
架空請求業者名簿(令和3年5月)を更新しました
ピクセル&プレス株式会社の名義で行われる「CCPシステム」又は「SH Kビジネス」と称する役務の訪問販売に関する注意喚起(VISION株式会社等と同種又は類似の消費者事故等のおそれについて)<消費者庁ウェブサイトへリンク>
有名なブランドのロゴを盗用した偽の通信販売サイトなどに関する注意喚起〈消費者庁ウェブサイトへリンク〉
無在庫での転売ビジネスのノウハウを提供するなどとうたい、多額の金銭を支払わせる事業者に関する注意喚起〈消費者庁ウェブサイトへリンク〉
【相談】国際ロマンス詐欺に御注意ください!
【事例】
画像専用SNSに花や風景の写真を掲載している人に「いいね」と反応したら、それ以降別の無料通話アプリでメッセージのやり取りをするようになった。その人は米国の駐イラク軍の軍医をしており、間もなく退役する予定だという。退役にあたり、軍から2億円をもらったので、当県で土地を購入して病院を建設する予定。2億円を入れた荷物を送るので預かって欲しいと言われた。その人は私のことを「かわいい妹」と呼び、身寄りがないため私を信頼してお金を預けるのだと思い引き受けることにした。
その後、現金を入れた荷物を送ったが、現在荷物はトルコにあり、配送業者から保険料を支払うようにというメールが届いた。保険料は3日以内だと72万円、24時間以内であれば150万円を支払えば荷物を引き渡すという。そんな大金を支払うことはできないと返信すると、「臓器を売れ」と返信がきた。これは詐欺ではないか。
(50代 女性 給与生活者)
<センターの対応>
相手は架空の人物で、恋愛感情を抱かせたうえで様々な名目でお金を振り込ませようとする「国際ロマンス詐欺」の手口であることを説明しました。幸いなことに、相談者は被害に遭わずに済みましたが、今後も同様の手口で相談者に接近してくる恐れがあることから、不審なメッセージやメールは詐欺だと思い、無視するよう助言しました。
<アドバイス>
SNSやマッチングアプリなどインターネットで知り合った外国人と親しくなり、連絡を取り合ううちに送金を求められる「国際ロマンス詐欺」に関する相談が県内でも増加傾向にあります。被害に遭うのは50代が最も多く、80代からの相談もあります。相手は軍関係者や医師などを名乗ることが多く、多額のお金を持っており、近く相談者の住む地域に転居する予定なので荷物を受取ってもらいたいと持ちかけます。これを引き受けると、通関料や手数料が必要になったので立て替えて支払って欲しいと送金を依頼されます。お金持ちの外国人が「かわいい妹」などと甘い言葉でささやき、恋愛感情を抱かせ、断りにくい状況に追い込んでいく悪質な詐欺の手口です。
インターネットで知り合った人物は、実在するのかさえわかりません。面識のない相手を安易に信用し荷物を受取る約束はしないようにしましょう。何らかの理由で手数料などの送金を求められても、絶対に送金してはいけません。ひとたびお金を支払ってしまうと、取り戻すことは極めて困難です。少しでもおかしいなと感じたら、お金を払う前に消費者ホットライン188に相談してください。