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賃貸住宅の退去トラブル

 賃貸住宅にまつわるトラブルで最も多いのが退去時のトラブルです。改正民法では、退去にあたり元の状態に戻して貸主(管理者)に引き渡すことは、借主(居住者)の義務だと明記されました。とは言え、仮に新築のアパートに住んでいたとしても、新築の状態に戻すことを求めるわけではありません。壁紙や床のフローリングなど、誰が住んでも時間の経過とともに自然に劣化する「自然損耗・経年変化」については貸主が費用を負担すべきものです。一方、借主がつけた傷や日頃の掃除を怠ったために広がった汚れ、タバコのヤニなどは借主が原状回復をしなければなりません。

 県内でこんな相談がありました。相談者が、4年間住んでいたアパートを退去することになり、その際、居住中にバスルームで喫煙していたことを管理会社に伝えたところ、後日、管理会社から「掃除をしてもタバコの臭いが取れないので、バスルームを交換することになった。交換費用として60万円を負担して欲しい」と連絡がありました。自分ではタバコの臭いを全く感じないのだが、費用を負担しなければならないのかというものです。

 国土交通省では「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を作成しています。法的拘束力はありませんが、原状回復に一定の基準が示されています。ガイドラインでは、借主が費用負担の義務を負う場合、居住年数が長いほど負担割合が減少し、施工単位も可能な限り毀損部分に限定し最低限度の施工単位とすることを基本とします。例えば、わずか数センチ程度の穴を補修するために壁紙全体の修繕費用を負担する必要はありません。今回の相談事例のユニットバスについては、本当に交換が必要なのかを含め、減価償却の考え方などについて専門家の見解を聞いた方がよい内容だと思われます。

 多くの場合、退去時の原状回復については契約書の特約条項に明記されています。国土交通省のガイドラインとは異なる内容になっていたとしても、契約書の内容が有効になることがあります。退去時のトラブルは、契約の時点から始まっているとも言えますので、入居する際に慎重に契約を結びましょう。少しでも不安な時は、お早めに消費者ホットライン188にご相談ください。

 

◆トラブルを防ぐために◆
1 契約前に、契約書類の内容をよく確認

2 自然損耗・経年変化は貸主の負担

3 困った時は消費者ホットラインにすぐ相談

青森県消費生活センター 土日祝日も相談受付中! 017-722-3343

●相談受付時間/平日9:00~17:30 土日祝日10:00~16:00 ●休日/年末・年始
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